【スリープツーリズムとは】日本の事例、逆転の発想

はじめに

【スリープツーリズムとは】日本の事例、逆転の発想についてまとめました。良い睡眠が取れると宿泊料が割引というのは、プロモーション目的などです。日本には、似た事例はありますが、宿泊料が割引になるホテルはありません。

目次

ニュースまとめ

オーストラリアのホテル業界では、質の高い睡眠を提供する「スリープツーリズム」という新たなサービスが注目されています。このサービスは快適な睡眠環境を重視した観光を指し、世界市場規模は約6900億ドル（約99兆円）に達する見込みです。忙しい日々を送る現代人に向け、睡眠が旅行の目的となっている点が特徴です。タスマニア州のホテルでは、6時間以上の睡眠を取ると宿泊料金が割引されるサービスも提供されています。

スリープツーリズムとは

スリープツーリズム（Sleep Tourism）とは、良質な睡眠を主な目的とした旅行形態で、特にストレスや忙しい日常生活を送る人々に向けて提案されています。このトレンドは、現代社会において多くの人が抱える睡眠不足や睡眠の質の低下に着目し、リラックスや健康的な睡眠環境を提供する旅行サービスとして成長しています。

スリープツーリズムは、リラクゼーション、回復、再生を目的にしており、旅行者が良質な睡眠を確保するための特別な施設やサービスを利用できるのが特徴です。一般的な特徴としては以下のようなものがあります：

1. 快適な睡眠環境：特別にデザインされた寝具やマットレス、遮光カーテン、音響調整された部屋など、最適な環境を提供。
2. 睡眠プログラム：ホテルやリゾートでは、専門家が監修した睡眠改善プログラムを提供。これには瞑想、リラクゼーションセラピー、呼吸法、就寝前の特別なルーチンが含まれることが多いです。
3. 健康・ウェルネスのサポート：スパやマッサージ、健康的な食事、アロマテラピーなど、心身のリラクゼーションを促進するアクティビティも提供され、睡眠を補完します。
4. テクノロジーの活用：一部の施設では、スマートデバイスやアプリを利用して、旅行者の睡眠パターンをモニタリングし、個別のアドバイスを提供する場合もあります。

例

タスマニア州のホテルなどでは、6時間以上の睡眠をとることができれば宿泊料を割引するサービスなどが行われ、睡眠の質を高めるインセンティブを設けています。これにより、宿泊客は睡眠の重要性を体験しながらリラックスした時間を過ごすことができます。

背景

このトレンドは、特にパンデミック以降、リモートワークの増加や生活習慣の変化に伴い、睡眠不足が社会的な問題となっていることが影響しています。健康やウェルネスに対する関心が高まり、睡眠の質を改善することが身体的・精神的な健康に直結するという考え方が広がった結果、スリープツーリズムが急速に発展しています。

規模

スリープツーリズムの市場規模は、今後も成長が見込まれており、現在の推定で約6900億ドル（約99兆円）に達するとされています。

逆では？

おっしゃる通り、質の高い睡眠を提供することがホテルの主な目的である場合、睡眠の質が高いほど宿泊料金が割引されるという構造は一見逆に思えます。良いサービスを提供することで宿泊料が安くなるのは、経済的な視点から見ると不思議に感じるかもしれません。

しかし、こうした割引制度にはいくつかの意図が考えられます：

1. プロモーション目的

これは単に宣伝効果を狙ったマーケティング戦略です。スリープツーリズムがまだ比較的新しいコンセプトであるため、話題性を高めるために「睡眠を取れば割引」という独自のサービスを提供し、注目を集めたいという目的がある可能性があります。こうした話題性によって、ホテル自体の集客を図ろうとしているのかもしれません。

2. サービスの効果を証明

ホテル側が「質の高い睡眠を提供できる」という自信の表れでもあります。宿泊客が実際に長時間睡眠を取れたという結果が出ることで、ホテルのサービスが本当に効果的であることが証明され、口コミやリピーターの増加に繋がることを期待している可能性があります。

3. リピーターの獲得

質の高い睡眠を経験した宿泊客は、再訪をしたり他の人に紹介したりする可能性が高くなります。短期的には割引で収益が減るように見えても、長期的にはリピーターを増やすことで収益向上を狙っているとも考えられます。

4. 特定の顧客層のターゲティング

このようなサービスは、睡眠に問題を抱えている顧客層に対して強い訴求力があります。睡眠の質に敏感な人々がこのサービスを試すことで、自分に合った宿泊施設を発見し、リピーターになる可能性があるため、割引は短期的な戦略にすぎず、長期的な顧客価値を重視していると考えられます。

5. 競合差別化

宿泊業界では、多くのホテルが同質化したサービスを提供しているため、スリープツーリズムのような特化型サービスで他のホテルとの差別化を図ることが重要です。割引があっても、差別化された価値を提供することで長期的に競争優位を確立する狙いがあります。

結局のところ、割引は一時的なインセンティブに過ぎず、ホテルにとってはサービスの品質をアピールし、結果的に長期的な利益を得るための戦略であると考えられます。

日本の事例

日本では、いくつかのホテルが「スリープツーリズム」体験を提供しています。主な例は以下の通りです：

1. ANAクラウンプラザホテル：このホテルでは、睡眠コンサルタント監修のもとで開発された「スリープ・アドバンテージ」というプログラムを提供しています。このプログラムでは、快眠枕やエッセンシャルオイル、アイマスクなどのアメニティが用意され、質の高い睡眠をサポートするためのアドバイスも行われています。
2. ナインアワーズ カプセルホテル：ミニマリストのデザインで知られるナインアワーズは、睡眠解析サービスを提供しています。赤外線カメラや体動センサーを使って宿泊者の睡眠パターンを測定し、心拍数やいびきの回数などを含む「睡眠レポート」が提供されます。
3. ホテルグランフェニックス奥志賀：長野県奥志賀にあるこのホテルでは、「いびき分析」などのオプションプランが提供されており、睡眠時無呼吸症候群の簡易検査を行うことができます。自然豊かな環境で、睡眠の質を見直すことができるプランです。

これらの取り組みは、睡眠の質を重視し、疲れた現代人に向けたリラクゼーションと健康促進を目指しています。

現在、日本で提供されているスリープツーリズムに関するサービスでは、特に宿泊料の割引についての言及はありません。たとえば、ANAクラウンプラザホテルやナインアワーズ、ホテルグランフェニックス奥志賀では、睡眠の質を高めるための特別なプログラムやアメニティ、解析サービスを提供していますが、これらに対して割引が適用されるという情報は確認できません。

一部のホテルでは、連泊プランなどにおいて料金が割安になることはありますが、睡眠の質に応じた割引制度は見られません。そのため、オーストラリアのタスマニア州のホテルのように、睡眠時間や質によって割引されるシステムは日本ではまだ導入されていないようです。

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